畠山美由紀「わが美しき故郷よ」によせて ー遅ればせながらー




今年の3月11日は、次女10歳6ヶ月のホルンの修理の予約で、車でボーデン湖 Bodensee 方面へ1時間ほど離れた小さな街へ行った。

そこでおじいちゃんが社長の修理会社に修理をお願いして待っている1時間の間に、一緒に行った、次女のホルンの先生であり私の友達でもあるアナが連絡を取ってくれた、ジンゲン Singen のトップレベルのアマチュアオケでホルンを吹いているさやかさんと3人で、お茶をしながらノンストップトーキングの1時間を過ごした。

このさやかさんとアナとのおしゃべりと、情熱を持って毎日楽器修理に携わっている、信頼できる小さな家族経営の修理会社を訪ねたことで、火曜日にお休みをいただいてまで行ったことが完全に報われた。


3月12日は水曜日でお休みだったので、最近ハマっているRyucrew のYouTubeで、アップデートされたばかりの震災遺構を訪ねるビデオを見て(震災遺構と言う単語もここで初めて知りました)、3月11日が震災から14年だったことに、ここで初めて気づく。

それで「花は咲く」を思い出して、それに参加したみゆきさんのアルバム( ここからSpotifyのリンクへ飛びます)を聴いてみた。

↓「花は咲く」のビクターのリンク。みゆきさんは21秒目に出てきます。なんでダイジェストしかないの⁈ 

https://m.youtube.com/watch?v=_RwTct8K2JM

畠山美由紀さんは私が大好きな歌手の1人で、声がいいのや歌がうまいのはもちろん、とってもお茶目なところもあります。とあるフェスティバルのステージで「私の声は悲しい曲のほうがよく活きる事は充分知ってる、でも、フェスだから楽しい曲歌わせて!」と言いながらラテンのリズミカルな楽しい曲を歌い始めた時もありました笑

そのみゆきさんのアルバムの中の朗読で、涙腺のちょう硬い私の目から涙が出てきて、この涙がどこから来るのかが、自分でも意外だった。それで、震災の記憶が自分の中に生きていることを知った。

ドイツに住んでいるから、私の周りにいる人たちにとって震災は遠い外国での出来事だけど、私はそれを当時住んでいた横浜で経験した。だから、家や家族や友達がなくなってしまったとか、そういうレベルの経験はない。それでもその後も、震災や原発の事はいつも頭の中にあった。被災者の人たちを何年も仮設住宅に住まわせることしかできない政府に苛立ちを感じたり(被災者の人たちは大人なんだから、自分でできることがあるはず)もした。

あの震災は日本にオフィスがある外国の会社にとっては計り知れない緊急事態で、2011年の3月16日の水曜日に夫の会社が用意した名古屋国際空港発ハノーファー着の飛行機に乗ってドイツに行った。その時に見たドイツの小さな街の中心に、日本の震災を想って灯されていたたくさんの赤いろうそくは、今でも目に焼き付いている。月曜日に新幹線で向かった名古屋は、普段通りの生活そのものだったけど。

そのあと4月の中旬に日本に帰るまで滞在したレーゲンスブルグの教会で開かれた、日本の震災チャリティーコンサートも聞きに行ったな。酔っ払って陽気に行って、コンサート中に東北の人たちに思いをはせたら号泣してしまって、迷惑な観客だったけど。

日本であるような震災関係の情報が一切ないドイツに住んでいるから震災の日付はすっかり忘れていてホルン修理の予約を取り付けたりしてたけど、震災のことは忘れるとかのレベルではなくて、体の記憶として残っていた。この震災14年目の日に、これまで知らなかった日本人女性と知り合えたことも、何かのご縁かもしれない。

そういえば、その時に付き合っていたオットとの結婚が早まったのも、そのあとすぐにドイツに住むことになったのも、震災がきっかけだったじゃないか←これは忘れてたね。


岐阜県の私の故郷に海はない。でも、子供の頃の風景や故郷を懐かしく思う気持ちは、東北の人と変わりがない。みゆきさんのアルバムをそれから何度も聞いて、みゆきさんがこのアルバムに込めた故郷への愛がだんだんわかってきた。

私はこういう形で震災を経験したけど、私の家族は岐阜にいるからもっと遠い。だから、被害が大きかった土地の人たちの気持ちや努力は私の想像を遥かに超えていると思う。それでも、みゆきさんが歌ってるように、辛抱強く、お互いを思いやって前に進んでいけることを、からだ全身で願う。


Spotifyを見ていて知ったのですが、そんなみゆきさんは来月2025年4月の後半にコンサートを予定していて、藤沢と横浜と、最後は地元の気仙沼の3回です。行ける人がうらやましいわー。


今日の1枚、次女が通学路でよく見かける猫に遭遇して、なでなでしているところ。

こんな普通の幸せが大事だったことを改めて気付かされる、震災の月です。






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